バルカン



ヒロのバルカン成功への道

ファーストステップ(キリストエアーの体勢)

 バルカンに取り組みだしたのは、99年のオーストラリア滞在から帰ってきてからです。99年の滞在でバルカンをしているスイス人をみて「あれがやりたい!」と思いました。それから、浜の宮でワンハンドジャンプの特訓です。とにかく、セイル手を離してキリストエアーの体勢を練習すれば何とかなるんじゃないかと思いました。そこで、ひたすらチョップを見つけては、片手をはなしてジャンプ。そして、激沈の繰り返しです。激沈をくりかえすこと数十日で、かなりハイジャンプでも手を離すことができるようになりました。

後ろ足の捻挫とむち打ち

 キリストエアーでの姿勢のままの着水(激沈)には、体の2ヶ所に無理がかかります。ボードをひねって着水するので、後ろ足首に負担がかかるのと。、後ろに放り出されるように沈するので、首の前の部分のむち打ちです。フォワードループほどのダメージはありませんが気をつけなければなりません。

セカンドステップ(ノーズからの着水)

 いろいろ考えた結果、ノーズから着水すれば怪我をしないことに気がつきました。ノーズとテールが同時に着水すれば衝撃が激しく後ろに放り出されるか、足首を痛めるかのどちらかです。そこからは、ひたすらノーズから着水するように片手放しのジャンプを繰り返し練習しました。
 常に、ノーズから着水できるようになるには、ちょっと、時間がかかりました。なぜなら、今までの長いウインドサーフィンの経験からジャンプの着水時は無意識に後ろ足を伸ばして着水のショックをやわらげようとしてしまうからです。(すべてのジャンプ系の技は後ろ足で立ちますのもね、急に変えられないものです)バルカンの着水では前足でささえるようにするべきです。さもないと、後ろ足払いの刑にしょせられます。

セイルの反対タックをキャッチする

 片手放しジャンプでノーズから確実に着水できるよになったので、次のステップに移りました。セイルのキャッチです。ジャンプして、空中でタックするのがバルカンです。その、空中(正確には着水と同時のタイミング)でセイルをキャッチしようとしたら、ボードが回らない症状が出てきました。片手放しジャンプのレッスンよりひどい転けかたの連続です。(激しく転ける割には、体の逃がしかたがそのころにはわかって来ていたので、ひどい怪我にはなりませんでした。後ろの足の甲の靱帯は痛めましたが)

ボードが回らない症候群の理由

 キリストエアーのように片手放しでジャンプすれば、ちゃんとボードは回ってくれたのに、セイルを取りに行くとボードが回らない。
 理由は、セイル手でした。キリストエアーの姿勢でセイルを取ることを考えないなら、その後ろ手を大きく広げてその反動でボードが回すことが比較的簡単にできてしまうのです。一方、その後ろ手でセイルをキャッチしなければならなくなったら、当然いままでのようにその手の反動を利用できないのでボードの回転力は弱まり、中途半端な姿勢で着水することになってしまいます。

解決策

 解決策を見つけるのにかなりの労力と考察が必要でした。色々な角度からビデオを取ってもらって、自分のビデオのフォームとプロ選手のフォームをコマ送りで比較したりしました。ジャンプする角度を1回ずつ変えたりしました。ようやく解決の糸口が見えたのは2000年のオーストラリア滞在の後半でした。
 ポイントは、マスト手(前の手)にありました。チョップジャンプして、いままでより強くマスト手を下のほうに押さえつけました。それと、後ろ足をさらに引き上げるよう努力しました。マスト手を押さえつけることにより、ノーズが海面に突き刺さり、その勢いを殺さないように後ろ足を引きつけます。そうすれば、ノーズを軸に軟着陸します。

そこからまた一苦労です(セイルのキャッチ)

 さて、ジャンプもうまくいき、ノーズで着水できて、反対側のブームを掴むことができました。しかし、なかなか立てません。そのまま、後ろに倒れてしまいます。何度やっても、惜しいところで水没です。足をストラップから抜いてウォータースタートしなければならない状態がずーっと長く続きました。たまにできても、頭まで水没しながら、何とかストラップに足がはいったまま踏ん張ってウォーターであがるくらいでした。

バルカン完成

 2000年のオーストラリアの滞在最終週。バルカンが完成しました。コツは、着水後のセイルの引きつけでした(押し出し)。
 想像してください。ジャンプして反対側のブームを掴んだ状態を。そのままだったら、セイルを引き込んだらボードのテールに負荷がかかりすぎますよね。それで、沈です。ジャンプし終えて反対側のブームを掴んだら、ウォータースタートで起きあがっている途中の姿勢にならなければ立てないのです。具体的には、次の動作の6番が重要です。(ここが最後の難関!)
1.ジャンプして。
2.セイル手を離す。
3.マスト手を押し込む。
4.後ろヒザを引きつける。
5.セイル手で反対側のブームを掴む(マストを掴む人もいますが、私はブームTOブームです。どちらも違いはありません)
6.掴んだセイル手(今は前の手になっているのでマスト手)を、思いっきり風上側に押し出す(引きつけて風上側に押し出す感じです)。
7.セイルに風が入って、そのまま反対方向に走り出す。
 ここまでやれば完着です。おめでとう、あなたも大きな顔してフリースタイラーと名のれます。

バルカンの練習は滅茶苦茶楽しい

 バルカンは、いままで完成させるのに一番苦労した技です。でも、練習はとても楽しかったです。当時、国内でもまだほとんど誰もできていない技でしたし(NWAのプロの人たちを含めても)。ちょっと、普通じゃない体の動きでしたから。倒れても倒れても楽しく集中して練習できました。99年から2001年のオーストラリアは、インサイドの方向転換はすべてバルカンの練習に費やしていたくらいです。はたして何百回、後ろに吹っ飛ばされたでしょう。足の靱帯をほぐしてもらいに整体に何度も通いました。そんなにしても、楽しくて楽しくて練習がやめられませんでした。そんな技です。ぜひ、ぜひ、ぜひ、みなさんもトライしてください。できたときには一緒に祝杯を挙げましょう!

最後に重要なこと

 忘れてはならないことです。バルカンの練習をするなら、必ず、後ろのフットストラップは、ぶかぶかにしておいてください。でないと、着水時に後ろ足の甲の靱帯が緊張するのですが、それを、フットストラップで締め付けられると怪我します。そう、チョップジャンプするのに不安なくらいストラップを大きく広げておいてください。
 この間、試乗会でフットストラップがきついまま試乗艇でバルカンしたらプッチっといっちゃいました。みなさん気をつけてね。


バルカン成功へのキーワード

「ジャンプは、ゆっくり優しく力を抜いて。」

「フラットウォータでのバルカンのジャンプの入りは、やや下らせ気味にそして小さなチョップを利用すること。」

「ノーズから着水させる。後ろ足を最後まで曲げること。」

{マスト手のプッシュがノーズ着水のカギ。」

「ノーズ着水後、セイルを風上に引き込む事(引きつけて、押し出すぐらいに風上側にセイルを放り出す)。」

「後ろストラップは思いっきりぶかぶかにする事。」