グラビー



ヒロのグラビー成功への道

初めて雑誌で紹介されたのは・・・

 初めて日本でグラビーが紹介されたのは、「ウインドサーファー」2001年8月号です。こりゃスゴイ!これやるぞー!でもどうやるんだろー???記事を見たときの感想です。
 グラビーを文章で表現すると、下のようになります。
1.フラットウォーターフォワードの飛び出し
2.ノーズを着水させ滑らせる
3.そこから、セールと体とボードが一緒になってノーズを軸に回転していく
4.セールには、裏風がはいる
5.そのまま、回転を続ける
6.最後はフォワードの着水のように、下半身が水没しながらのウォータースタートでフィニッシュ

簡単に言うと、サイドフォワードの途中でノーズを滑らせているのです。でも、見た目が、社交ダンス(ワルツ)のターンみたいです(余計に分からないかな?)。結構、ファンキーなワザです。

しかし、フォワードからどうしてノーズが滑るように着水できるのだろう?

 連続写真を見ただけでは、どうしてフォワードループからノーズで滑るように着水できるのか分かりませんでした。実際、飛び出しのイメージも全然湧きません。また、自分が出来るとも思えませんでした。
 9月に徳島でNWAの大会があったときに、石原プロ、石井プロから「ハワイで、グラビーの練習をしたが、どうしてもフラットウォーターフォワードになってしまう。」と聞きました。また、こんな事も聞きました。「本橋君は、フォワードが出来なかったが、一緒にグラビーにトライしていたら、自然にループを覚えてしまった。」とも。

オーストラリアで実物を見ました!

 2001年の12月、オーストラリア滞在で実物を見ることが出来ました。それで納得です!秘密が明かされました!
 カギはエントリーにあったのです。ウインドサーファーの連続写真では、飛んだところからの写真だったので、飛び出し方が分からなかったのです。実は、思いっきり下らせてから、ピョコッと飛んで、空中でほんの少しセイルをフォワードのように引き込むだけなのです。そうすれば、勝手にノーズで着水して滑っていくのです。
 私の中で、「これなら、出来る!今回の滞在中にトライしてみるぞー」という風に、変わりました。

実際にやってみると・・・3日で!

 オーストラリア風日誌の1月後半を見ていただくと分かりますが、私は、グラビーをやり始めて3日で初メイクしてしまいました。なんと、グラビーは、やり方とコンディションさえ合えば比較的簡単に形になってしまうトリックだったのです(バルカンと大違いです)!
 それでは、この3日間で、私がどの様に取り組んだのか詳しく説明します。

トライ、初日!

 グラビーをトライした最初の日のコンディションは、4.7ジャストでフラットコンディションでした。
 初日にトライした方法は、以下のようなものです。
1.ジャイブのエントリーのように、まず、しっかり下らせる。
2.5〜10m下らせたら軽くジャンプ。その時の手幅は、フォワードループをやる時のように手幅を広げないで、通常セイリングしている程度、あるいは、それよりやや広いぐらいにする。
3.飛び出したら、フォワードのようにセイルを引き込むが、フォワードのように全力で引き込むのではなく、ノーズが風下に軽く振られていく程度の引き込みを心がける。フォワードで引き込む力を、10とすると4程度の力。
(このとき、ボードをサイドローテーションさせるためノーズを風下方向に(横に)しっかり振ることを意識すること。)
4.ノーズから着水する。視線は、ノーズを見ている。

 上の4ステップを、まず行いました。グラビーの飛び出しだけの練習です。前半部分ですね。とりあえず、フォワードで飛び出して、出来るだけ横にボードを回すようにして、ノーズから着水してみるというものです。この段階では、着水した後、ノーズを軸に回転して前にセイルと一緒に転ける場合がほとんどです。そう、ハーフループして転けているのです。でも、全然体に衝撃はなく、何度でも練習できてしまいます。縦回りするとだめですよ。頭を打ちます。そう横回転しているのと、頭を打たないのです。お尻から落ちます。そして、下らせているので速度が落ちているせいで衝撃が少ないのです。
 何度かトライしているうちに、タイミングが合ってきます。そうすると、どれくらいのジャンプでちょうどノーズが滑り出すか分かってきます。ホントに痛くなく、怖くないので一日中でも練習できてしまうのです。そのことが、このワザを早くメイクさせる要因になったのでしょう。

2日目のトライ

 2日目は、ノーズが滑ってから裏風を入れてプッシュする練習です。
 初日よりも、飛び出してからの体の位置に注意しました。重心がジョイントの上に来るぐらいのイメージをつくります(頭がノーズに近づくとベストみたいです)。フォワードのように、回しきるために全力を使うのではなく、ノーズを滑らせることが最重要ですから、バランスが大事なのですね。

 初日のように下らせてから、飛び出します(重ねて書きますが、ボードはサイドローテーションですよ!)。ノーズで着水して滑らせます。頭の位置を、初日よりノーズ寄りにするように意識です。ノーズを軸に回転しだし、ちょうどランニングの位置まで回ると、フットから自然に、ふわっと裏風が入りました。その時、そのままセイルをプッシュすると完全に裏風が入ります。そうすれば、そのまま後に押され、かってに最後の半回転が始まります。最後は、頭まで水没しましたが、なんだかとっても良い感じでこの日は終わりました。

3日目で、出来ちゃった!

 3日目です。2日目は最後のところで水没しましたが、そこを、なんとかしようと練習しました。
 ビデオで検証した結果、2日目の最後のパートで水没した理由が分かりました。原因はセイル手だったのです。
 まず、裏風が入ったところで、セイル手をプッシュします。そして、そのまま回転していくのですが、最後はセイル手を少し引き込まないといけないのです。2日目では、セイル手を最後までプッシュしたまま(伸ばしたまま)でした。想像してください。ウォーターの姿勢でマスト手が曲がっていて、セイル手が伸びていたらどうなるか?絶対、体は上がりませんよね。グラビーの最後は、ウォーターの姿勢です。だから、最後の最後はセイル手を、ゆるめなければなりません。突っ張ったままじゃだめです。

 それさえ分かれば、簡単です。この日のコンディションが良かったせいもあり、グラビーがほぼ出来上がりました。
回転して、プッシュして、最後の瞬間、少しセイル手を引き込むようにするとウォーターで上がることが出来ました。

グラビーの失敗例は2通り!それは・・・

 グラビーは、海面がスーパーフラットならノーズが滑らせ易いのですが、少しでもチョッピーなら急にメイクするのが難しくなります。
 そして、グラビーの失敗例、その一は、なんと・・・・・そう!フラットウォーターフォワードなのです。ジャンプで飛びすぎるとノーズの引っかかりが弱くそのままローテーションしてしまい、フォワードループになってしまうのです。
 失敗例、その2は、ジャンプが足らなくてノーズで着水するが、元に戻ってしまうというものです。そう、ウイリースキッパーからすぐにボードを戻すワザ、ジャックナイフにそっくりです。
 いずれにせよ、足をひねることもなく、体が痛くなることもなく、首をいわすこともない、素晴らしいトリックです。
楽しんで練習できますよ!


実は、フォワードループの練習にこのグラビーが使えます 

 私は、ポートのフォワードは自由自在にフラットであれチョップであれ出来ます。しかし、スタボー側のフォワードは、不得意です。特にスタボーのフラットウォーターフォワードは、試したことすらなかったのです。
 しかし、このグラビーの練習を始めたら、勝手にスタボーのフラットウォーターフォワードが出来てしまったのです。徳島で石井プロに言われた通りでした。そこで、ひらめきました。メンバーの2名の方が、今、フォワードループにトライされていますが、この方法を試してもらったら簡単にループを学べるんじゃないかと。

 さっそく、日本に帰ってから、このうちの1名の方にグラビーのような入り方でフォワードにトライしてもらいました。なんと、彼も3回目の練習で前に回ることが出来るようになったのです。1年かかっても出来なかったことがです(以前、良いところまで、彼はいっていたのですが何度か激しく水面にたたき付けられてから、体が逃げるようになってしまいました。その後、飛べない、腰が引ける、回らないと、どんどん悪循環に陥っていたのです)。
 グラビーの飛び出し方では、セールの引き込みが甘いため、完全に1回転してランディングするまでには至らないのですが、セールと一緒にローテーションする感覚と、ノーズを下の方に空中で振る感覚が会得できます。しかも、痛くなく、怖くなくです(これが大事)。

 彼にしたアドバイスは、
 「長めにジャイブのエントリーをする。ギャップが見えたら、そこに合わせて、軽くジャンプする。空中でノーズを風下に振って、そのノーズを水面に引っかける(グルービーを狙わないなら突き刺すでも可)ように着水させる。水圧でノーズがその位置でとまるので、結果的にボードのテールが前に来るように回転する。あとはそのままセイルにしがみついているだけ。」こんな感じでした。
簡単にハーフループします。あとは、この練習を、何度もして、体が慣れた頃、少し大きなギャップで同じ事を行えばループの出来上がりです。

 今までのループの練習方法では、怪我はしないまでも、首筋を痛めたりはざらでした。この方法を使えば、そんな困難から解放です。画期的な練習方法だと思います!ホントに簡単なんですよ!!!
 「怖くなく、痛くなく、すぐにループが覚えられる。」が合い言葉です。


 ここからは、2003年4月24日の加筆部分です。

 ここ1年で、グラビーも進化しました。
 最後、ウォーターで上がるのではなく、1滴も水につからずに、そのまま、走り出してしまうのが完全成功グラビーです。

 2002年6月、リカルドとジョシュが本栖湖に来たときのビデオを見せていただきました(シュリロさんから、後に一般に販売されました)。特にリカルドのグラビーは、最初ハイウインドで紹介されたときの物から、かなり進化していました!そう、体の力が抜け、1滴も水につかることがない、トテモ綺麗なものでした。
 それから、私も自分のグラビーの完成度を高める作業に出ました!毎日、毎日、リカルドのグラビーのシーンをコマ送りに解析して、風の吹く日は、海で完璧グラビーを狙いました。

 そして、とうとう、2002年暮れ、串本のスーパーフラットのインサイドで、突然メイクできました。ほんとに、驚きです。グラビーに入り、ジャンプしてノーズを刺して、裏風プッシュしたら、そのままクルンと回って、何事もなかったように走り始めたのです。回転は、とてもスムーズで体のどこにも負担がかかりませんでした。
 このとき、気をつけたことは、以下の点です。
 「飛び出しを、ゆっくり確実に低空で」でした。

 結局、この日、完璧版が出来たのは、1回だけでした。上記の注意事項は、完全制覇の回答じゃなかったみたいです。

 そうしているうちに、2002年〜2003年度のオーストラリアキャンプが始まりました。
 前半でグラビーを完璧にする気でスケジュールしていましたが、結局、キャンプのほとんど全部の日程をグラビーに費やすことになりました。

 そう、来る日も来る日も、グラビーです。たまに、完璧版が出来るのですが、コンスタントではありませんでした。それでも、あきらめずに、毎日、グラビーです。
 (でも、グラビーって技は、ほんとに、楽しく練習できます。何度も繰り返しますが、体のどこにも負担がかからないのに、結構、激しくアピールできるからです!みなさんも、トライしてくださいね) 

 オーストラリアキャンプも後半になると、スーパーフラットなセクションなら、かなり行けてるグラビーに成ってきました。ただ、すこしでも、海面が荒れると、とたんに確率が落ちました。というより、メイクできませんでした。

 その後の、与論キャンプでは、海面がフラットなセクションなどなく、風が吹けば、すべての海面がチョッピーになりました。それでも、これは、ちょうどチョッピーコンディションの練習になると、何度も、何度もトライです。しかし、パットしません。何かが違ったのです。

 そして、与論から帰ってきてから、物は試しと石原プロのホームページのQ&Aのコーナーに投稿してみました。質問内容は、
今シーズンのオーストラリアキャンプでは、グラビー中心に練習しました。そのグラビーで、一滴も水没しないのが何度か出来ましたが、ほとんど最後、ウォータースタートポジションになり、背中が水に着いてしまいます。安定して、最後まで立っている(リカルドのように)には、何に注意すればいいでしょう? 」というもので、

 その石原さんの回答は、「
グラビーは回るのはとても簡単ですが、最後に立っていることがほんとに難しいです。立っているコツはやはりどの技でもおんなじですが、前足に最後まで体重が乗っていることですね。グラビーの場合遠心力が働くのでどうしても後ろ足に体重がかかりやすくなります。飛び出したと同時に前足を思いっきり曲げ、そのことだけに集中すると成功率が上がってくると思います。頑張ってください。」
 でした。

 これでした!さすが石原さん!!完璧なアドバイス!そのときの私に足りなかったのは、前脚への意識配分でした。これを、気をつけると、石原さんの言うように、かなり確率が上がりましたし、成功と失敗の体の位置の差に気がつきました。

 そうなってくると、インサイドだけじゃなく、アウトのチョッピーな海面や、波越えでのグラビーメイクが、出来だしました。唯一、フラットな海面との違いは、うねりやチョップを利用して、ほとんど、踏み切らないで空中に飛び出すと安定してノーズスライドできることでした。フラットなときもそうですが、気合を入れすぎてチョップジャンプすると、ノーズが引っかからず、チーズロール(フォワードの昔の回り方、裏風を後半使う)になってしまいます。それは、それで楽しいんですが!

 こんな感じで、現在に至っています。最近は、かなり、体の力が抜けたグラビーになってきました。
 ポイントは、前脚だったんです。キーポイントは、前脚加重!グラビーもそうですが、スポックも、ウイリースキッパーもそうです。なんだか、未来は、明るいぞ!
 石原さん、サンキュー!