フォワードループ



ヒロのフォワードループ成功への道

初めてのトライ

 最初にフォアードループにトライしたのは、ジェラルトンに初めて滞在した1989年です。サンシティーキャラバンパーク前のチョッピーな海面で毎日頭(左の耳のあたり)を、ぶちつけていました。
 当時行っていた方法は、ジャンプしたらただひたすらセイルを引き込むことだけというものでした。当時の私は、ジャイブもあんまり成功しない程度の腕前だったのですが、若さと無鉄砲さで、何回かに1回は、ループが出来るようになりました。ただループといっても、チーズロールというループの方法です。リップからジャンプする瞬間にセイルを引き込んでしまい後半は裏風がセイルに入ってローテーションする。着水は背中から必ず落ちるというものです。現在のループと違った軌道を描くので、今やると逆に新鮮かもしれません。見たことない人も多いでしょうね。聞いたこともないかな?

怪我

 91年のオーストラリア滞在中にフォワードループ(チーズロール)で怪我をしました。飛び出しのタイミングを失敗し、空中でセイルを開いてしまった為、失速して墜落!その拍子にブームで肋骨を折ってしまいました。それから数年間フォワードループをやらなくなりました。いや、怖くてやれなくなってしまったのです。

再開

 その後、94年ごろのウインドサーフィン雑誌にブルース・ワイリーさんのフォワードループの練習方法が紹介されていました。論理的で段階的な練習方法です。よし、もう一回フォワードに挑戦だっ!ってかんじで94年のオーストラリア滞在中、ずーっと、この練習をやることになりました。ちなみに、このときのブルースさんの技に対するアプローチのしかたが、現在の私のフリースタイルトリックに対する方法論に多大な影響を与えていると思われます。
 では、その方法の第一段階です。まず体とセイルのローテーションの練習です。プレーニングしないぐらいの風で行います。ジョイントのところに立って、セイルをつかんだまま風下にジョイントを軸にセイルと一緒に回転しながら飛び込みます。そう、セイルボディー360の途中に風下側に倒れてしまうようなものです。セイルは、両手で持ったままですよ。セイルと体がクルッと一緒に回ってボードはそのまんまです。簡単です。私は、それを1週間続けました。
 第二段階は、その飛び込みにセイル手の引き込みを加えながら飛び込みます。マストを軸にボードはそのままでセイル手を思いっきり引き込んで風下側に飛び込む。第一段階では、自分のジャンプ力だけで風下側に飛び込みましたが、今回は、ジャンプ+風の力です。確実にウォータースタートに近い姿勢でふわっと回転して着水できるまで練習します。これは、私の場合、数日間でした。

第三段階の練習(この部分は、私のオリジナルな練習方法です)

 第三段階は、いよいよ風の強い中での練習です。といっても、いきなり「いけーっ!」て感じで回ってしまうのはペケです。ブルースさんの練習方法では、この段階で回ってしまうのですが、私みたいに怪我の経験がある人にはチョット酷です。そこで考えたすえ、もう1ステップ練習を思いつきました。
 それは、チョップジャンプした瞬間、後ろを振り返るという練習です。友達にフォワードは、「ガバット飛んで、ビーチに居てる女の子を見るように後振り返って、セイル引き込んだら行けるでー」って(一太郎12を買ったので、ちょっと関西弁変換を使いたかったのす。ホントは、英語で言われました)言われたのがヒントになりました。それまで、ジャンプして後を振り返ったことなどなっかたからです。
 具体的には、ギャップでジャンプした瞬間、後を勢いよく振り返ります。そして、すぐに前を向いて普通に着水です。この、勢いよく振り返るだけで、ノーズが風下に振れて、そのまま顔をもどさないと、ハーフループしてしまうこともこの練習から分かって来ました。

第四段階

 ここまでの練習で1ヶ月を要しました。そして滞在期間も残り1週間になったとき気を充実させ(自分を追い込んで)勇気を振り絞ってジャンプした瞬間、振り向きざまに思いっきりセイル手を引き込んでみました。
 ローテーション成功です!膝の引き込みが足らなかったので空中での回転はゆっくり、着水も背中をしこたま打ちましたが、あきらかにフォワードループしました。最高の気持ちでした。空中で回転中、頭のしたに海が、上に空が見えて感動しました。(チーズロールではそうゆうふうには見えなかったから)とうとう、フォワードルーパーです! 

完全着水への道程

 ループで完全着水するまでには、さらに4年の歳月が必要でした。95年は、1日10回以上というようにノルマをきめ回数をこなしました。96年97年とだんだん完成に近づき、98年の滞在では縦周りや、横周りのループの方法が理解でき、膝の引きつけで回転速度を調節できるようになりました。そうなってくると、着水もできるようになりました。体に回転中も余裕ができ視界も開けてきてローテーションの途中に空と海の位置関係に気が行くようになりました。調子が良ければ、2回に1回は、下半身しか水没しないという完成度の高さになってきました。

再び怪我

 その、98年の最後から3日目、オーバーヘッドサイズの波がサンセットビーチにはいりました。波乗りも絶好調。ループも絶好調です。そこに、死角がありました。ループで回転しすぎてフラットランディングしてしまったのです。左手がブームに引っかかり体は水没しました。左肩の脱臼です。一瞬の出来事でした。ちょうどビデオを撮ってもらっていたのですが、左手が引っかかっているのがよく撮れていました。それから、数ヶ月間セイリングできないほど肩を壊してしまいました。

再起へ

 99年の滞在では、左肩も完治して、フォワード再開です。今回は、最初の肋骨の時のように怖さはありませんでした。正しい練習方法をしたせいでしょう。ただ、すこし控えめに回転するように気を付けたぐらいです。
 また、そのころから、浜の宮ローカルの男性や沖縄のローカルの男性にループの指導をしました。自分の行ってきた練習方法をリファインして実践してもらったのです。(今では2人ともパーフェックトルーパーです)
 また現在は、メンバーのみなさんを中心に徐々にルーパーが出てきています。
みなさんも、トライしてみませんか!応援します(^_^)v

PS・・・そして、更に今年度2002年のオーストラリアの滞在でもっと画期的で怖くなく痛くないフォワード練習方法を開発できました。その方法は、「グルービー」の項目に記することにします。こうご期待。
 


ループ完成へのキーワード

「後ろ足の爪を見るようにジャンプする。」・・・・・・・・その姿勢を取ることにより鼓膜を前の肩で守ることができる。また、むち打ちの防止にもなる。背中が進行方向に向き、回転の助けにもなる。

「ヒザのたたみ込み。」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・多くの失敗の原因は、ヒザのたたみ込みができていないせいである。ヒザを引きつけ体をコンパクトにすること。セイル手の引きつけも重要だが、下半身を引きつけることができれば上半身は自然に引きつけられているはずである。足の力を利用しよう。

「フラットウォーターでループするときは、風下ジャンプ。」・・・・サイドローテーションで回ることになる、フラットウォーターでのループは、飛び出しの角度が重要である。やや風下に飛び出すようにする。腰以上の波のある場合は、オーバーローテーションになることもあるので注意。